「ポイント(点)」から「グリーン(緑)」へ iPASSグリーンポイントが拓く脱炭素の新しい日常
2025/06/09

一卡通票證股份有限公司 総経理 鄭鎧尹氏
台湾の電子マネーサービス「一卡通(iPASS)」を運営する一卡通票證股份有限公司が創立11周年を迎えた。今年も昨年に続き、「サステナブル元年」の理念を掲げ、1,100万台湾ドル相当の「iPASSグリーンポイント(綠點)」を投入。企業や非営利団体(NPO)との連携を通じて、カーボンニュートラル社会への具体的な取り組みを一層加速させている。
この施策の背景と狙いについて、同社の鄭鎧尹総経理は、環境金融を特集する『WindTAIWAN』特別号で語っている。
「移動」から「支払い」まで
あらゆる場面に潜むカーボンフットプリント
iPASSの決済サービスは、すでに台北・桃園・台中・高雄のMRTやバス、YouBikeなど主要な公共交通機関に対応しており、脱炭素型の消費行動を支える基盤となっている。昨年、董事長の廖泰翔氏が10周年を「サステナブル元年」と位置づけ、現金と同様の価値を持つ「グリーンポイント」を正式に発表。これは、台湾政府が掲げる2050年ネットゼロ目標と、世界的なサステナビリティ潮流に呼応するものだ。
このポイント制度は、脱炭素行動を対象に特化した報酬システムとして設計されており、人々の行動をグリーンライフへと誘導する新たなインセンティブの役割を果たす。
公共交通の利用ごとに0.1ポイントが付与され、貯めたポイントは運賃割引に使用可能。移動すればするほど環境負荷が減り、利用者にもメリットが還元される。鄭総経理は「行動を誘導するインセンティブとして、ポイントが“緑”を生み出す仕組みになっている」と強調する。
11周年を迎えたiPASSは、累計発行枚数5,000万枚、実名登録者数1,156万人を突破。グリーンポイントの認知拡大に伴い、その活用領域も交通から日常生活へと広がっている。
現在、iPASSは7-Eleven、Hi-Life(萊爾富)、FamilyMart(全家)など主要コンビニと提携。公共交通以外にも、マイカップ持参でのコーヒー購入や、低炭素商品・無紙化請求の支払いなど、エコ行動に対してもポイントが加算される。
対象となる無紙化支払いは、当初の約4,000項目から、駐車料金・健康保険料・年金・公共料金・マンション管理費などを含む8,000項目以上へと拡大。特にHi-Lifeでは通常の10倍のポイント付与が行われており、気軽なエコアクションが大きなインセンティブへとつながっている。
創立11周年を記念し、iPASSは「1,100万グリーンポイント・サステナブル計画」を始動。ESG(環境・社会・ガバナンス)に取り組む非営利団体を対象に、プロジェクト提案に応じてポイントを提供する。この仕組みは「持続可能な行動を社会が評価し、iPASSが報いる」という新しい価値循環モデル。企業にとっては、従業員や顧客と連携し、脱炭素社会の実現に参画する絶好の機会となる。
アプリ × グリーンポイント × サステナブルアクション
「iPASSグリーンポイント」のコンセプトは、交通系ICカードの決済において比較的新しい取り組み。グリーンポイントを社会に根付かせる鍵は、日常の中で自然に使える仕組みにある。iPASSは公式アプリ「iPASS MONEY」を通じ、ポイントの可視化と利用を簡便化。スマートフォン一つで、交通カードの管理、チャージ、送金、支払い、履歴の確認までが一括で可能だ。
とりわけ注目すべきは「環境行動履歴」の記録機能。これにより、ユーザーは自身のグリーンアクションを数値で実感でき、日常生活の中にサステナブルなライフスタイルを無理なく取り込めるようになっている。
このコンテンツはWindTAIWANにて公開されたものであり、
ENERGYNIPPONとのコラボレーションにより共有されています。