米中間選挙、民主が上下両院奪還 洋上風力の許可安定化が焦点に
2026/11/6
バージニア州沖の洋上風力発電事業「コースタル・バージニア・オフショア・ウィンド(CVOW)」(写真提供:米海洋エネルギー管理局〈BOEM〉)
米国で11月3日に投開票された中間選挙で、民主党が連邦議会上下両院の多数派を奪還した。AP通信が4日までに報じた。共和党のトランプ大統領と議会多数派が異なる「ねじれ」の下、再生可能エネルギー政策を巡る与野党の駆け引きが新たな局面に入る。洋上風力では、承認済み事業の許可を維持する仕組みと、エネルギーインフラの許認可改革が焦点となる。
トランプ政権下では、風力・太陽光発電への政策支援の見直しが進んだ。2025年7月に成立した法律は、両電源に対する連邦税額控除の適用期限を前倒しした。米内国歳入庁(IRS)の説明によると、2026年7月4日より後に着工する対象設備は、原則として2027年末までに稼働しなければ、クリーン電力の生産・投資に対する税額控除を受けられない。
洋上風力では、内務省が2025年12月、安全保障上の懸念を理由に、東海岸で建設中の5事業を対象とするリースの一時停止を発表した。承認を取得した後も行政判断によって事業が止まるリスクが、開発の予見可能性を損なってきた。
許認可改革、再エネ事業の保護が争点
政策協議の軸となるのが、エネルギー・インフラ事業の審査迅速化を目指す超党派の許認可改革法案だ。上院のエネルギー・環境関連委員会を率いる共和、民主両党の議員は9月30日、「Bipartisan American Affordability and Jobs Act of 2026」を発表した。発電設備などの許認可手続きの迅速化に加え、送電網の拡充や、データセンターに伴う系統増強費用の負担を盛り込んでいる。
法案は、例外的な事情や法令違反、裁判所の命令などがない限り、取得済みの許可を維持する仕組みも目指す。ただ、ブルームバーグ・ローの11月3日付報道によると、民主党上院議員は、政権が再エネ事業の承認を繰り返し見直すことを防ぐため、さらなる保証を求めている。審査期間の短縮だけでなく、承認後の安定性をどこまで確保できるかが、協議の争点となっている。
民主党の議会掌握は、政権への監視や政策協議での発言力を強める一方、再エネ政策の即時転換を意味するものではない。大統領が法案に拒否権を行使した場合、これを覆すには上下両院それぞれで投票議員の3分の2の賛成が必要となる。支援策の拡充や制度改正を実現するには、共和党側との合意形成が引き続き重要になる。
州政治でも変化、電力料金と電源計画に波及へ
連邦議会と並び、州レベルの政治変化も注目される。ペンシルベニア州では、民主党のジョシュ・シャピロ(Josh Shapiro)知事が再選を果たし、同党が州議会上下両院の多数派も確保した。知事と議会の主導権が同党にそろうことで、州独自のエネルギー政策を進める政治的な条件が変わる。
ジョージア州では、電力・ガス事業を監督する公共サービス委員会(PSC)の5議席のうち、民主党が3議席を確保した。同委員会は料金設定や電源構成に影響力を持つ。地元公共放送GPBによると、相次ぐ料金引き上げやデータセンターの増加が選挙戦の争点となった。今後は電力供給の拡大と、家庭・企業の負担抑制をどう両立するかが問われる。
今回の選挙結果を踏まえると、米国の再エネ市場では、連邦議会による行政監視と州の電力政策が並行して重要性を増すと考えられる。洋上風力投資の先行きを見極めるうえでは、議会の勢力図に加え、許認可改革の成否、承認済み事業への行政対応、州の電源計画を確認する必要がある。長期にわたる開発と資金調達を支える制度の安定性を確保できるかが、今後の焦点となる。
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