国産化から国際化へ、Skybornが考える台湾の再生可能エネルギーの発展
2025/06/09

インタビュー:台湾地区総経理 黄意文氏
気候変動の問題により、再生可能エネルギー産業は世界中で注目され、成長を続けている。Skyborn Renewablesは、台湾をアジア太平洋地域の洋上風力発電のハブとして位置付け、Skyborn Renewables Taiwan(天豊新能源股份有限公司)を設立して20年以上、台湾市場に深く関わってきた。台湾のエネルギー転換を推進する先駆的な企業の一つである。
その中で、Skybornが参加している「允能雲林洋上風力発電所」は、台湾で最も困難なプロジェクトの一つと言える。多くの危機を乗り越え、最終的に80基の海上風車が2025年に全て稼働する予定だ。本号では、天豊新能源台湾地区総経理の黄意文氏にインタビューを行い、台湾市場における会社の位置づけや、台湾の再生可能エネルギー市場における競争力と独自性について、また「グリーンファイナンス」をテーマに、産業が直面するコストや資金調達の課題に対する経験とアドバイスを伺った。
国内エネルギー政策の「停・看・聴」
台湾政府はエネルギー政策において何度も方向性を調整しており、再生可能エネルギー産業もその政策に密接に関連している。特に、洋上風力発電の開発と建設は政府の戦略と強く結びついている。Skybornは常に政府のエネルギー戦略とビジョンに沿って行動し、ルールと要求に合わせて開発戦略を調整している。
黄意文氏は、政府の目標が明確であることを称賛している。この明確な方針は企業にとって大きな運営の安定要因となり、台湾市場が日本や韓国と比べて産業が比較的成熟した段階に進んだ理由として、政府の戦略の重要性を挙げている。「例えば、第一段階での建設容量や、第二段階、第三段階での進め方など、競争入札のルールは時期に応じて調整されていますが、常に明確であったため、2017年には多くの国際開発者が台湾に参入し、アジア太平洋地域の拠点として台湾を選びました」と語っている。
しかし、台湾が持つ特殊な地政学的な条件により、初期の産業開発段階では「国産化」が入札の必須条件とされていた。このため、開発者は一部の設備や技術を台湾の企業に供給させることを約束しなければならず、この規定は多くの開発業者にとって大きな試練となった。
それでも、Skybornは第二段階の潜在的な風力発電サイト選定規則に基づき、国産化の要件達成に全力を尽くした。その結果、Skybornは水下基礎の国産化目標を最初に達成した開発者となり、これを誇りに思っている。
「これには非常に自信を持っています」と黄氏は語る。台湾の供給チェーンとの協力を通じて、台湾企業、特に製造業の技術向上と成長を促進し、洋上風力発電産業を通じて新しい可能性を切り開くことができたことを実感している。「例えば、台朔重工や俊鼎機械といった企業は、これらの数年間にわたり私たちと共に協力し、共に学び、技術的な課題を乗り越えてきた強力なパートナーです」と続けた。
時間の経過とともに、原材料コストは世界の政治・経済情勢の影響を受けて大きく変動し、台湾政府は国産化政策の見直しを始め、関連要求を緩和し始めた。黄意文氏は、これは台湾産業市場の成熟度に対する評価であり、台湾が再生可能エネルギー分野で国際化に向かって進んでいる過程を示していると考えている。
「長年の学習を経て、台湾の地元供給チェーンは一定の成熟度を持っているはずです」と黄氏は指摘している。これは、長らく国内市場にのみ注力してきた台湾の供給チェーンにとって、国際市場への視野を広げ、世界との接点を持つ絶好の機会であるといえる。もし国際的な視野を広げなければ、規模の経済に限界が生じることになるため、このタイミングで国産化の要求を緩和することは、台湾の供給チェーンのビジネス変革において重要な指標となると考えている。
Skybornは、現地の供給チェーンがますます成熟する中で、政策の緩和が台湾企業にとってより大きな国際的なチャンスをもたらすと考えており、台湾が世界の供給チェーンに参加することを期待している。過去数年間の開発を通じて、地元の供給業者は顕著な学習曲線と技術的な成長を遂げており、今後の国際的な競争においては、供給業者の技術向上を促進し、さらなる国際的な協力の可能性を拓くことで、台湾が再生可能エネルギー市場での地位を一層強化できると信じている。
不確実な電力価格制度と国際的な環境が影響を与えるコスト
「実行可能なビジネスケース」とは、すべてのプロジェクトが不確実性を減少させ、合理的な投資回収率を達成できることが基本的な要件だ。洋上風力発電産業は高い投資ハードルを持つ分野であり、台湾は他のアジア諸国と比べて先行して発展しているが、商業的な観点から見ると、依然として未知の課題が存在している。特に、電力価格の問題が依然として解決されていないことが、商業的な成功にとって重要な挑戦となっている。
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