台湾、洋上風力発電を2039年までに最大27.9GWへ拡大 頼大統領が中長期開発計画を表明

2026/7/31

台湾、洋上風力発電を2039年までに最大27.9GWへ拡大 頼大統領が中長期開発計画を表明

画像:中央社のライブ配信より


台湾の頼清徳大統領は7月23日、国家気候変動対策委員会の第8回委員会を主宰し、洋上風力発電を中核とする中長期のエネルギー戦略を打ち出した。台湾経済部(Ministry of Economic Affairs)は同会合で、2039年までに新たに15〜18GWの開発余地を確保し、4年ごとに事業者選定を実施する方針を示した。計画通りに進めば、台湾の洋上風力発電の累計設備容量は2039年時点で24.7〜27.9GWに達する見通しとなる。


政府は「電力供給の安定」「産業競争力の強化」「ネットゼロ実現」を同時に推進する方針を掲げており、長期的に予見可能な投資環境を整備することで、国内外の洋上風力関連事業者や金融機関の参入を促す考えだ。



508基・4.9GW、世界5位を維持


台湾経済部の報告によると、台湾では2026年7月10日時点で508基の洋上風力タービンが設置され、累計設備容量は4.9GWに達した。2025年の年間発電量は初めて100億kWhを突破し、世界の累計導入量で第5位、単年導入量で第3位となった。さらに、2024年以降に4度の強い台風に見舞われたものの、商業運転中の洋上風力発電所に重大な被害は確認されておらず、台湾海峡の厳しい気象条件に対する耐久性も実証されたとしている。


頼大統領は会合で、洋上風力発電の拡大と並行して、サプライチェーン強化、人材育成、海洋環境保全を進める必要性を強調した。エネルギー転換を「地域との共生を伴う産業政策」と位置付けた点が特徴だ。


2030年10.9GWへ、R3.3で3.6GW追加


台湾の洋上風力政策は、「実証(示範)→潜在海域(潜力場址)→ゾーン開発(区塊開発)」の三段階で進められてきた。現在は第3段階に入り、R3.1とR3.2で計4.435GWを配分済みである。2026年3月にはR3.3の選定制度が公表され、2030〜2031年に3.6GWを追加導入する計画となっている。


経済部の頼建信次長は、R3.3の実施によって2030年の政府目標である10.9GWの達成に「高い確信を持っている」と説明した。現在、複数の大型案件が建設段階に入っており、供給網や港湾インフラの整備も並行して進められている。



2035年に最大19.9GW、浮体式洋上風力発電も導入へ


今回の計画で最も注目されるのは、2030年以降の拡張ロードマップである。政府は2027年に「区塊開発第4期(8GW)」、2029年に「第5期(8GW)」の事業者選定を行う方針を示した。第4期は2032〜2035年、第5期は2036〜2039年の系統接続を想定している。


加えて、100〜200MW規模の浮体式洋上風力発電の実証案件を「2+1案件」の原則で推進し、2032〜2033年の運転開始を目指す。これにより、台湾の洋上風力発電の設備容量目標は以下のように段階的に引き上げられる。

  • 2030年:10.9GW
  • 2035年:18.3〜19.9GW
  • 2039年:24.7〜27.9GW

浮体式の導入方針を明示したことで、着床式中心だった台湾市場が、将来的により深い海域へ展開する可能性も見えてきた。



「15〜18GWの海域余地」を体系的に確保


台湾経済部は、関係省庁との海域データ統合作業を通じて、環境保全や漁業との調和を前提とした開発可能海域を体系的に整理したと説明する。その結果、2026〜2039年の中長期計画として、新たに15〜18GWの導入余地を確保した。


さらに、4年ごとに約8GWずつ容量を放出する仕組みを導入し、事業者が長期的な投資計画を立てやすい環境を整える。欧州では近年、入札延期や条件変更が相次いでいるが、台湾は2039年までの開発枠と選定スケジュールをあらかじめ提示することで、政策の継続性をアピールする狙いがあるとみられる。


銀行融資6,389億元、保険資金も拡大


金融面では、2026年3月末時点で銀行による洋上風力発電向けプロジェクトファイナンス契約額が累計6,389億台湾元に達した。保険会社によるグリーン発電所への投資承認額も865億元に上り、このうち588億元が洋上風力発電向けである。


政府は、国家融資保証制度の拡充やグリーンREIT、プロジェクト債券の活用を通じて、民間資金のさらなる呼び込みを進める方針だ。台湾の洋上風力市場は、欧州系デベロッパーだけでなく、日本や韓国の金融機関・サプライヤーにとっても重要な投資先となっており、安定した資金調達環境の維持が今後の導入拡大の鍵を握る。


半導体・AI需要を支えるグリーン電源に


台湾経済部は、半導体およびAI関連産業の拡大に伴い、2026〜2035年の電力需要の年平均成長率が2.5%に上昇すると試算している。洋上風力発電は、その増加分を支える主要なグリーン電源として位置付けられている。


政府は、2039年に最大27.9GWへ到達した場合、年間発電量は最大1,046億kWh、CO2削減効果は最大9,420万トン相当に達すると見込む。

 

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今回の発表は、台湾が単なる「2030年目標の達成」から、「2040年を見据えた産業・金融・系統を一体化した長期市場形成」へ政策の軸足を移しつつあることを示している。特に、2039年までの容量枠を前倒しで提示した点は、アジアの洋上風力市場では異例の透明性を持つ。


日本でも洋上風力発電の導入加速が課題となる中、台湾のように複数回の入札スケジュールと将来容量を一括して示すアプローチは、サプライチェーン投資や港湾整備、人材育成を促す上で参考になる可能性がある。


台湾海峡で培われた耐台風・高稼働率の運転実績が、今後アジア太平洋地域における洋上風力発電開発の新たなベンチマークとなるかが注目される。

 

出典: 国家気候変動対策委員会経済部「我國離岸風電中長程發展規劃」





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