台湾・海龍洋上風力、550億台湾ドルを追加調達 11行が新規参画
2026/8/15
写真:海龍プロジェクト
台湾中部・彰化沖で建設が進む大型洋上風力発電事業「海龍(Hai Long)」は11日、550億台湾ドル(約2,700億円)の追加融資を実施したと発表した。日本の三井物産、カナダのノースランド・パワー(Northland Power)、マレーシアのジェンタリ・リニューアブルズ(Gentari Renewables)が共同出資する同プロジェクトに、国内外の金融機関による支援が広がった。
今回の増額融資では、既存の7つの輸出信用機関(ECA)および参加金融機関による支援に加え、国家融資保証センターと17の金融機関が融資枠を拡大した。既存銀行6行が融資額を積み増したほか、兆豊銀行、彰化銀行、台湾輸出入銀行、華南銀行、土地銀行、台湾中小企業銀行、合作金庫銀行、台中銀行、板信商業銀行、安泰銀行、フランスのソシエテ・ジェネラル(Société Générale)の11行が新たに参画した。
海龍プロジェクトのティム・キッテルハーケ(Tim Kittelhake)最高経営責任者(CEO)兼プロジェクトディレクターは、「今回の資本構成の最適化は、政府、金融市場、民間企業が連携してエネルギー転換とグリーンファイナンスを推進した成果だ」とコメントした。金融機関や政府機関の支援に謝意を示した上で、「産業パートナーと協力し、計画通り高品質な形で建設を完了し、安定したクリーン電力を供給していく」と述べた。
海龍は彰化県沖約45〜70キロメートルの海域に位置し、73基の風力タービンを設置する計画だ。総設備容量は1ギガワット超で、台湾の洋上風力案件として最大級に位置付けられる。
プロジェクトは現在、基礎工事や海上建設を含む各工程が進んでおり、2026年末の完成・系統連系を目指している。稼働後はアジア最大級の単一洋上風力発電所となる見通しで、年間発電量は台湾の100万世帯超の電力需要を賄える規模になる。
台湾では再生可能エネルギー拡大政策を背景に洋上風力への投資が続いているが、金利上昇や建設コスト増加により、資金調達環境の変化が事業採算に与える影響が注目されている。今回の追加融資は、海龍が長期的な事業遂行に必要な財務基盤を強化したことを示す事例として、市場関係者の関心を集めそうだ。
ENERGY NIPPON Insight
海龍プロジェクトへの追加融資は、台湾洋上風力市場における金融支援の裾野拡大を象徴している。特に台湾の公的金融機関と民間銀行に加え、海外銀行が新たに参加した点は、台湾洋上風力が依然として国際的な投資対象として評価されていることを示唆する。
一方で、世界の洋上風力市場では資材価格や建設コストの上昇を受け、欧米で事業見直しや契約条件の再交渉が相次いでいる。海龍がこの局面で追加資金を確保できたことは、完成リスクの低減と資本効率改善を両立させる戦略的な資金調達として位置付けられる。
台湾政府が掲げるエネルギー転換目標の達成には、大型案件の着実な完工が不可欠であり、海龍の進捗は今後の第3フェーズ案件や浮体式洋上風力への投資環境にも一定の影響を与える可能性がある。
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