北九州・長崎、洋上風力で広域連携 製造・造船の強み結び供給網構築へ
2026/10/23
北九州と長崎で、洋上風力産業の広域連携が動き出した。響灘洋上風力産業推進機構(REACH、北九州市)とながさき洋上風力関連事業推進協議会(Nwin、長崎市)は10月14日、連携協定を締結した。両地域の製造業と造船関連産業の集積を生かし、供給網の構築や人材育成を進める。
日本経済新聞の報道によると、同日に長崎市で開いた調印式で、REACHの光武裕次代表は、九州域内にとどまらず、日本全体の市場を視野に入れた産業ハブを目指す考えを示した。Nwin会長で長崎商工会議所会頭の森拓二郎氏は、ビジネスマッチングや技術交流、人材育成を具体的な成果につなげる重要性を強調した。
供給網の構築では、浮体式洋上風力の基礎製造に取り組む大島造船所(長崎県西海市)や三菱長崎機工(長崎市)などとの連携を視野に入れる。地域ごとに蓄積してきた製造技術や企業ネットワークを結び、洋上風力関連分野への参入や事業拡大につなげる狙いだ。
両地域では2026年、洋上風力発電所の稼働が相次いだ。北九州市沖では3月2日、最大出力22万キロワットの「北九州響灘洋上ウインドファーム」が営業運転を開始した。長崎県五島市沖では1月5日、「五島洋上ウィンドファーム」が商用運転に入った。五島は複数の風車を設置する商用浮体式洋上風力発電所として国内初となる。着床式と浮体式の双方で、地域に事業実績が蓄積し始めている。
北九州市は響灘地区で、製造、物流、運転・保守(O&M)などを担う洋上風力産業の総合拠点づくりを進めている。日鉄エンジニアリングの若松工場では洋上風車向けのジャケット式基礎を製造。保守人材の訓練施設や作業員輸送船の係留拠点も整備してきた。今後は浮体式への対応も進める方針だ。
長崎では、造船業で培った技術と人材を洋上風力分野に展開する動きが進む。長崎市の地場産業成長プラン案は、造船・洋上風力関連企業の連携による受注拡大と供給網形成を掲げる。既存の産業基盤を新たな需要に結び付け、地域企業の競争力強化と雇用につなげる方針を示している。
行政や経済団体による広域連携も先行する。九州経済産業局、福岡県、北九州市、長崎県、九州経済連合会、GX推進機構は6月23日、「九州洋上風力産業推進パートナーシップ」を結成した。九州での産業集積と競争力強化に向け、供給網構築と事業環境の整備を一体的に進める枠組みだ。
今回の協定は、こうした広域的な産業振興の動きと方向性を同じくする。発電所の立地を関連産業の成長に結び付けるには、企業間交流を継続的な取引や人材確保につなげることが欠かせない。北九州と長崎の相互補完を、具体的な受注や供給体制の整備にどう結実させるかが今後の焦点となる。
参考資料:NIKKEI、北九州市、中部電力、長崎県プレスリリース





