住友電工、英国初のHVDC海底ケーブル工場で開所式 約700億円投資、送電網増強需要を取り込む
2026/10/23
英スコットランド・ニグ港で行われたHVDC海底ケーブル工場の開所式(写真:住友電工)
住友電気工業は10月19日、英スコットランド北部のニグ港に建設した高圧直流(HVDC)海底ケーブル工場の開所式を開いた。投資額は3億5000万ポンド(約700億円)。同社によると英国初のHVDC海底ケーブル製造拠点となる。2027年の生産開始を見据え、洋上風力の導入拡大に伴う送電網増強需要を取り込む。
新工場はハイランド地方の港湾区域に位置し、敷地面積は約15ヘクタール、延べ床面積は約5万8000平方メートル。開所式には住友電工の松本正義会長、井上治社長のほか、英国・スコットランド両政府や関係企業の代表らが出席した。
主力製品は525キロボルトの架橋ポリエチレン(XLPE)絶縁HVDC海底ケーブル。長距離・大容量送電に対応し、再生可能エネルギーの電力を需要地へ効率的に届ける役割を担う。現地生産により英国での供給体制を整え、欧州の海底ケーブル事業の中核拠点とする。スコットランド政府は建設に2450万ポンドの補助金を拠出した。
新工場の事業基盤を支えるのが、英国で進む複数の送電プロジェクトだ。住友電工は2026年7月、海洋工事を手掛けるVan Oordとともに、スコットランドの送電事業者SSEN TransmissionとHVDCケーブル事業の長期的な枠組み協定を締結した。対象には、シェトランド諸島とスコットランド本土を結ぶ「Shetland 2」が含まれる。
同案件では525キロボルトのHVDC海底ケーブルを用い、スコットランド北部の送電網を強化する。7月の発表時点では初期設計・エンジニアリング業務を進め、必要な規制当局の承認を条件に、2026年中の製造契約締結を目指すとしていた。ニグ港の新工場でのケーブル製造は2027年第2四半期に開始する計画を示している。
一方、英国南東部のケントとサフォークを結ぶ「Sea Link」では、2025年12月にNational Grid Electricity Transmissionから約140キロメートルのHVDCケーブル供給・敷設契約を獲得した。同案件向けの海底ケーブルもニグ港で製造する予定で、英国の大規模な送電網更新計画「The Great Grid Upgrade」を支える。
英国の送電網整備は、再生可能エネルギーの受け入れ能力を拡大するとともに、国内の製造業への投資を促す動きにつながっている。SSEN Transmissionは、将来の案件を見通せる長期的な協力関係が、製造能力や人材育成への投資を後押しすると説明する。住友電工の新拠点は、送電インフラの整備と現地サプライチェーンの構築を一体で進める取り組みとなる。





