目視点検の限界を補完 風力発電の羽根異常を音と動画で検知


2026/1/8


JFEエンジニアリング(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:福田一美、以下JFEエンジニアリング)と国立大学法人東京科学大学(理事長:大竹尚登、本部:東京都目黒区、以下Science Tokyo)は、風力発電設備の羽根(ブレード)の異常を早期に検知できる新技術を開発した。羽根表面の割れや摩耗を「音」で捉え、内部構造の損傷を「動画」で把握する仕組みで、従来の目視点検では見逃されがちだった異常を、より早期に検知できるという。2030年までの実用化を目指す。


風力発電の導入拡大に伴い、設備の安全性確保と稼働率向上が重要な課題となっている。今回の技術は、風力発電所の運用・保守の高度化につながるものとして期待される。羽根の異常を音で検知する技術は、機械設計を手がける不動技研工業(長崎市)などがすでに開発しているが、JFEエンジニアリングによると、音と動画を組み合わせて異常を検知する手法は世界初だという。


風車の羽根は現在、定期的な目視点検が主流で、表面の微細な亀裂や内部骨組みの損傷を見落とす恐れがあった。新技術では、風力発電設備のタワー基部に音響収録装置とカメラを設置し、ブレード表面の損傷に伴って発生する異音と、ブレードの挙動を撮影した動画を取得する。これらのデータを独自の解析システムで分析し、わずかな変化を検出する。


風車が回転する際には、風を切る特有の音が発生するが、羽根表面に割れや摩耗が生じると、その音質に変化が現れる。また、落雷などによって内部構造に損傷が生じた場合、羽根の揺れ幅が通常より大きくなる。こうした変化を音声データや映像データから捉えることで、異常の兆候を早期に把握できるという。


近年は風車の大型化が進み、回転時に羽根へかかる負荷が増大している。羽根が完全に破断して発電が停止した場合、新しい羽根の調達や交換作業に数カ月から半年程度を要し、発電事業への影響は大きい。


2025年5月には、新エネルギー技術研究所(東京・中央)の子会社が保有する新屋浜風力発電所(秋田市)で羽根が折損し、死者が出る事故も発生した。外観や内部の定期点検は実施されていたものの、事故を防ぐことはできなかった。原因は特定されていないが、落雷の影響などが指摘されている。



こうした事故を防ぐため、風力発電所では、より高度な異常検知技術の導入が求められている。JFEエンジニアリングとScience Tokyoは今後、実証実験を重ねて検知精度を高めたうえで、JFEエンジニアリングが風力発電ブレード異常検知技術の早期社会実装に向けて取り組んでいくとしている。


(資料参考:日経新聞、JFEエンジニアリング株式会社ニュース)



前のページに戻る
By info 2026年1月6日
台湾メディアが伝える 台湾経済省、2026年適用の再生可能エネルギーFIT買取価格を発表
By info 2026年1月2日
「容量」を売る時代へ 2026年台湾容量市場を見据えた 泓德能源 X 国碩科技の蓄電戦略
台湾から始まる“海の送電革命――国産海底ケーブルで挑むエネルギー安全保障と産業競争力の両立  Walsin Energy Cable System(WECS)の挑戦
By info 2025年10月7日
地政学リスクや再生可能エネルギーの台頭を背景に、世界中で海底ケーブルへの需要が急増している。市場調査機関の報告によれば、2025年にはグローバル市場が220億ドルを超え、2034年には約550億ドルに達する見込みだ。通信インフラや5G展開に加え、洋上風力をはじめとする再エネ関連プロジェクトによる送電ニーズの拡大である。