台湾中油、脱炭素とエネルギー安定供給を両立へ SAF・水素・地熱を軸に事業転換を加速
2026/6/4

頼清徳総統が台湾中油の創立80周年記念式典に出席した。写真提供:台湾中油
台湾最大のエネルギー企業である中油(CPC Corporation, Taiwan)は6月1日、創立80周年記念式典を開催した。方振仁董事長は、世界的なエネルギー転換やサプライチェーンの不確実性が高まる中、持続可能な航空燃料(SAF)や海運向けバイオディーゼル燃料(B24)の供給を本格化するとともに、地熱発電や水素インフラの整備を推進し、多様なエネルギーポートフォリオの構築を通じて台湾のエネルギー安全保障と脱炭素化を加速する方針を示した。
中油は現在、天然ガス供給体制の強化にも注力している。液化天然ガス(LNG)第3受入基地第2期計画をはじめ、台中LNG基地の第3・第4期拡張工事、さらに洲際LNG受入基地の整備を進めており、天然ガスの受入・貯蔵・輸送能力の拡大を図る。将来的な産業需要および電力需要の増加を見据え、供給能力と運用の柔軟性を高めることで、エネルギー供給の安定化を目指す。
一方、次世代クリーンエネルギー分野では、高雄市楠梓区における水素ステーションの実証設備が完成したほか、宜蘭県土場地熱発電所では設備の試運転を終了した。中油はこれらのプロジェクトを通じて、水素および地熱といった新たな低炭素エネルギーの実用化を進めており、台湾のエネルギー転換に向けた基盤整備を加速させている。
また、中油は過去5年間で累計約60万トンのCO₂排出削減を達成した。製油・ガス事業を中心とする従来型エネルギー企業から、低炭素エネルギーを含む総合エネルギー事業者への転換を進めるなか、具体的な排出削減成果を積み上げている。
方董事長は今後の重点戦略として、AI技術の積極活用を挙げた。設備保全の高度化や生産プロセスの最適化、事業所の安全管理強化などにAIを導入し、経営効率と運営の信頼性向上を図る考えだ。さらに産業パートナーとの連携を通じて低炭素化を推進し、安定したエネルギー供給と持続可能な産業競争力の両立を目指すとしている。
エネルギー安全保障と脱炭素化という二つの課題への対応が求められる中、中油は天然ガス、水素、地熱、バイオ燃料を組み合わせた多層的なエネルギー戦略を打ち出している。台湾のエネルギー転換政策において、同社の動向は今後の市場形成やインフラ投資の方向性を占う重要な指標となりそうだ。
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