プロロジウム、メルセデスと次世代電池の共同試験 仏工場の整備も推進
2026/10/01
プロロジウム、仏ダンケルクの大規模電池工場計画を推進 インフラ整備と現地化を加速
台湾の電池メーカー、プロロジウム(ProLogium)は9月29日、独メルセデス・ベンツと第4世代の次世代リチウムセラミック電池「Gen4」の共同試験契約を締結したと発表した。30日には、フランス北部ダンケルクに建設する大規模電池工場の進捗も公表した。車載用途への適合性評価と欧州での生産基盤整備を並行して進め、次世代電池の事業化につなげる。
契約に基づき、メルセデスはGen4電池セルを優先的に試験する機会を得る。同社の専用施設と外部の専門機関で電気特性、熱特性、安全性を検証し、将来の車両への適用可能性を評価する。量産車への採用や供給契約については、今回の発表では示していない。
Gen4は、プロロジウムが「超流体化無機次世代リチウムセラミック電池」と呼ぶ技術を採用する。同社によると、不燃性の無機電解質、セラミック分離層、独自の能動的安全機構を組み合わせ、安全性と高エネルギー密度の両立を目指す。急速充電や高出力、低温下での性能に加え、量産への対応とコスト競争力も重視する。
両社は2016年から協業しており、初期の電池セル開発から共同開発、複数のセル形態の検証へと関係を広げてきた。メルセデスはプロロジウムの戦略投資家の一社で、取締役会に1議席を持つ。これまでにパウチ型や角型セル、バイポーラ技術などを検証してきたという。
プロロジウムの創業者兼最高経営責任者(CEO)、楊思枏氏(Vincent Yang)は、蓄積した技術を量産可能で商業性のある製品に転換することが重要だと説明した。メルセデスとの協業やフランス政府、欧州連合(EU)の支援を背景に、欧州での大規模生産を目指す。
欧州の製造拠点となるダンケルク工場では、進入路やフェンス、造成関連の工事に加え、電力設備の設置と配電網への接続工事が進む。施工現場への通電は2026年10月初めを目標としている。
現場ではSogea Caroni、Exyte、Lucas & Gaillard Architectesの共同チームが工事を担い、Ardelec Energieが電力設備を、Enedisが配電網への接続を担当する。9月初めには労働安全衛生・環境に関する調整会議を終え、各施工会社を統一した現場管理体制に組み込んだ。
同工場は2026年2月に第1期工事の起工式を実施し、詳細設計と施工を進めている。第1期の設計生産能力は4GWhで、2030年までに段階的に達成する計画だ。敷地全体の最大設計能力は44GWhを見込む。電池製造に対応したクリーンルームやドライルームを導入し、建築物の環境性能を評価する「BREEAM」認証の取得も目指す。
生産体制の現地化も進める。フランスや欧州の供給業者の認定、技術の現地展開に取り組むほか、地元の高校、大学、職業訓練機関と連携して人材を育成する。2024年に開設したパリ・サクレーの研究開発拠点と連携し、研究開発から製造、供給網までを欧州域内で支える体制を整える。
プロロジウムによると、台湾・桃園の桃科工場ではGWh規模の製造検証を完了し、開発段階のCサンプルや実証車向けの生産を支えている。ダンケルク工場には台湾で検証した生産方式を展開し、第1期の完成後に欧州顧客向けの商用電池セル供給を目指す。
車載電池の事業化に向けては、今回の試験を通じた性能・安全性の確認と、工場建設や生産能力の段階的な立ち上げが焦点となる。プロロジウムは自動車メーカーとの技術検証を進めながら、欧州での供給体制の構築を急ぐ。





