JOGMEC、洋上風力の事業性評価調査を公募 LCOE分析と海外市場調査を強化
2026/6/12

独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)は6月4日、日本周辺海域における洋上風力発電の導入拡大を目的として、「本邦周辺の海域における洋上風力発電の事業性評価及び動向調査等に関する業務」の委託先公募を開始した。国内海域の開発ポテンシャルや経済性の評価に加え、海外市場や最新技術動向の調査も実施し、日本の洋上風力産業の競争力強化につなげる考えだ。
事業性評価と市場分析を一体的に実施
今回の調査は、JOGMEC再生可能エネルギー事業本部が主導するもので、日本周辺海域の自然条件や地理的特性を踏まえた洋上風力発電事業の経済性評価を進めることが主な目的となる。
具体的には、洋上風力発電の事業性評価ツールの開発・更新、発電コスト(LCOE)の算定手法の高度化、さらには国内外の技術革新や市場動向に関する情報収集・分析などが求められる。
近年、日本では洋上風力発電の導入拡大が国家戦略として位置付けられている一方、資材価格の高騰やサプライチェーンの制約、金利上昇などを背景に、事業採算性の確保が大きな課題となっている。JOGMECはこうした環境変化を踏まえ、最新のコスト構造や市場環境を反映した評価基盤を整備することで、開発事業者や投資家の意思決定を支援したい考えだ。
発電事業者は応募不可 高い財務要件も設定
応募資格については、公平性と中立性を確保する観点から、提案者自身が発電事業を行う企業でないことを条件としている。
また、日本国内に事業拠点を有し、調査業務を遂行できる体制や設備を備えることに加え、安定した経営基盤も求められる。直近3年間のうち2年間以上で営業利益が黒字であることや、全省庁統一資格における「役務の提供等(調査・研究)」でA・B・Cいずれかの等級を取得していることなどが参加要件となる。
このほか、国や政府関係機関から補助金停止などの行政処分を受けていないことも応募条件に含まれている。
7月3日まで提案募集 2026年度内に調査実施
応募事業者は、日本語で作成した提案書を2026年7月3日17時までに提出する必要がある。紙媒体11部に加え、電子データの提出も求められる。
委託期間は契約締結日から2027年3月31日まで。評価委員による書類審査や必要に応じたヒアリングを経て、総合評価点が最も高い事業者が委託先候補として選定される。
洋上風力政策の次段階を支える基盤整備へ
日本政府は2040年に向けた脱炭素化とエネルギー安全保障強化の柱として洋上風力発電の拡大を掲げている。しかし、欧米市場では近年、インフレや調達コスト上昇を背景に大型案件の見直しや入札制度の再設計が相次いでおり、日本市場も同様の課題への対応が求められている。
今回のJOGMECによる調査事業は、単なる市場調査にとどまらず、日本周辺海域における開発リスクやコスト構造を定量的に把握し、今後の制度設計や投資判断を支える基礎データを整備する取り組みとして位置付けられる。
洋上風力産業の持続的な成長には、風況や海象条件だけでなく、サプライチェーン構築や資本コスト低減を含む総合的な事業環境の改善が不可欠である。JOGMECが進める今回の調査は、日本の洋上風力市場が次の成長段階へ進むための重要なインフラ整備の一環として注目されそうだ。
資料参考:JOGMEC、Wind Journal



